電子系の'硬さ'は、不純物が存在しない場合でも、電子間相互作用を大きくするにつれて減少していく。これは、格子による周期的ポテンシャルの影響である。一方、不純物が存在する場合には、電子間相互作用の関数としてピークを作ることが厳密対角化の計算から明らかになった。電子間相互作用が弱い領域での電子系の'硬さ'が上昇していくことは別として、電子間相互作用が強い領域で電子系の'硬さ'が下降してゆくことは、不純物が存在しなくでも周期的ポテンシャルによって下降するので、周期的ポテンシャルが存在しなくてもピークを作るかどうか明らかでない。そこで不純物が存在する場合の電子系の'硬さ'を不純物が存在しない場合の'硬さ'で割ることにより、周期的ポテンシャルの効果を間接的に取り除いた。しかしそれでもピーク的振舞いは残っていたので、これは説明できない。そこで、2番目に波長の長い成分を考慮して繰り込み群方程式を導出し、電子系の'硬さ'を計算したところ、ピーク的振舞いが再現できた。これにより、数値的および解析的結果が一致し、系の振舞いがほぼ理解できたと考える。
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