界面和周波発生法と赤外反射吸収分光法を用いニッケル単結晶表面を酸化して得られた酸化ニッケル単結晶表面に吸着したギ酸、一酸化炭素、一酸化窒素などの小分子の吸着構造、熱分解反応を調べた。また紫外光を励起光とした光脱離反応についても検討し、紫外パルス光をポンプ光とし界面和周波発生法によって表面をプローブする紫外励起過渡和周波発生スペクトルの測定を試み、紫外光照射によって表面分子の振動状態が励起されることを見出した。酸化ニッケル(NiO(111))表面に吸着したギ酸はフォルメート(ギ酸イオン)種として解離していることが赤外吸収スペクトルの解析により明らかになった。この吸着種はこの酸化ニッケル表面では表面に傾いて吸着していることが赤外選択則から解明された。このフォルメート種は昇温すると水素と二酸化炭素、もしくは水と一酸化炭素に分解するが、各々の反応経路の詳細についても明らかにした。酸化ニッケル表面は紫外光照射により光反応を起こせることが知られているが、ギ酸は紫外光照射しても光反応は起こさないことがわかった。酸化ニッケル表面に吸着した一酸化炭素、一酸化窒素は紫外光照射により光脱離反応することが知られている。赤外反射吸収分光法と高圧水銀ランプを用いこれらの光脱離反応を検討したところ、吸着サイトの違いによって量子収率に差異があることがわかった。ピコ秒YAGレーザーから得られる紫外パルス光によって励起された一酸化炭素吸着表面を同時に界面和周波発生法で観察すると、C-O伸縮振動が励起されていることが明らかになった。これは紫外光照射により電子励起された分子が緩和して、電子基底状態の高い振動順位にいるものと考察された。
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