アルミナ上のRhやRuの微粒子は、COの吸着/脱離により分散/凝集を可逆的に繰り返すことが明らかとなっている。このような構造変化は触媒反応における金属微粒子の特異的性質に直接関与していることが十分に考えられるため、その機構を知ることは非常に重要である。本研究では金属を複合化したときの影響をEXAFSにより調べ、構造変化の機構を解明することを目的とした。これまで、Rh-PdおよびRh-Ptについて検討したが、後者について興味ある結果が得られたので以下に報告する。 Rh-Pt/Al_2O_3触媒へのCO吸着の影響 CO吸着の影響を受けないPtをRh/Al_2O_3触媒に添加し、その構造を調べた。CO導入前では、Rh-M(MはRhまたはPt)の距離はRh/Al_2O_3のRh-Rhより長く、またPt-MはPt/Al_2O_3のPt-Ptよりも短くなっていたことから、RhとPtは一部あるいは全部が合金化していると考えられる。この触媒に室温でCOを導入するとRh-Mが消失したことから、Rh単独の場合と同様に金属粒子の崩壊が起こったと考えられる。一方、Pt-EXAFSの強度はわずかながら増加する傾向がみられ、粒子が大きくなったか、あるいは構造の乱れが減少したことが窺える。しかしながらFXAFSのシグナルが非常に微弱で、現段階では詳細な構造解析に十分な精度のデータが得られていない。したがつてまだはっきりしたことは言えないが、還元後にはPtをわずかに含んだRh粒子とRhを含んだPt粒子が存在し、COの導入により主にRhからなる粒子は崩壊するとともにその中に含まれていたPtがPtを主とする粒子上に析出してわずかに粒子が大きくなったのではないかと推察される。現在、より精密な測定を行っており、今後詳細な構造パラメータを決定し、さらに赤外分光法や昇温脱離法などの結果と併せて構造変化のメカニズムを検討する予定である。
|