ガス透過膜の上にフォトリソグラフィーを行う方法を考案した。これには、まず透過膜をフォトレジストによりシリコン等の基板上に貼り付ける。従って、この透過膜はリフトオフにより不要な金属を取り除く時に容易に基板からはずすことができる。この方法により1対の櫛形電極を互いに近接して透過膜上に形成し、それぞれの電極に異なる電圧を印加し、この時の電流を測定した。一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO_2)を透過膜の外側に通気すると、これらのガスは一方の電極、ジェネレータ上で酸化され、電解液中に硝酸イオンとして溶け込む。ここで生成した硝酸イオンは、もう一方の電極、コレクタで還元される。それらの生成物は再びジェネレータで酸化されるので酸化還元サイクルがこの電極間で発生する。従って、分析種が繰り返し反応し、見かけの感度が増大する。この感度の増大効果は櫛形電極の寸法を小さくしていくことにより大きくなっていく。また、ジェネレータ、コレクタの各最適電位は+1.0、+0.6V(vs.Ag/AgCl)であった。NO_2の場合は、コレクタ電極でそれ自身還元反応が起こるので櫛形電極の効果は少なかった。しかし、NOガスの場合、硝酸イオンとNOとの反応もあり、コレクタでの反応の寄与が大きかった。NOは、電解液に対する溶解度やガス透過膜の透過率が小さいため、もともとNO_2の10分の1程度の感度しかなかったが、この櫛形電極を用いることによる高感度化が達成された。
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