本研究では、光電子ホログラフィー実現のために、光電子回折パターンからホログラフィー成分を実験的に抜き出すことが目的である。具体的には、光電子回折パターンを温度の関数として測定し、それらのパターンを比較することにより、ホログラフィー成分を抽出する。本研究費は、主にこの温度依存光電子パターンを測定するための実験設備の構築に使用した。 始めに光電子回折パターンを測定する時に試料を再現性良く回転するために、試料ゴニオメータにステッピングモーターを取り付けた。手動コントロールによる動作チェックの結果は、良好であった。次に、コンピュータで試料回転の自動コントロールを行うために、インターフェースの作成と光電子回折測定ウェアの改良を行った。しかしながら、インターフェースの作成に予想以上に時間がかかり、残念ながら未だ完成にはこぎ着けていない。ソフトウェアの改良も、途中の段階である。試料の加熱装置については、試料ホルダーを電極とし、真空外から導入した電流により、試料を通電加熱できる装置を作成した。また冷却システムは、試料ホルダーの裏側に銅のブロックを設置し、ブロックと試料ホルダーを銅の網線で接続することで試料の回転を損なうこと無く、冷却ができるものを作成した。現在、この装置で、加熱・冷却時の光電子回折パターンの測定を行っている段階である。
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