研究概要 |
本研究で検討したファイバ集積型光アイソレータは、薄型のアイソレータ・チップ(ルチルからなる2枚のくさび型偏光分離素子と、1枚の平板型偏光分離素子、およびファラデー回転素子で構成される)を、2本のTECファイバ(局所加熱によりコア径を拡大したファイバ)の間に挟み込んでいる。このアイソレータの特徴は、逆方向損失を、光ファイバと光ビームとの角度ずれによって生じる結合損失で与えることである。今回は、スポット直径36μmのTECファイバを使用しており、挿入損失、アイソレーション(逆方向損失)は、それぞれ0.6dB、35dBと推定される。V溝基板上に並べた2本のTECファイバアレイに溝を加工し、その中に作製したチップ(厚さ1200μm)を光学的な位置合せを全く行なわず挿入することで、2本のアイソレータアレイを構成した。 作製したアイソレータの特性は、波長1.55μmから1,75μmまでの範囲で、逆方向損失30dB以上、挿入損失1.4dB以下であった。また波長1.555μmにおいて、ある特定の偏波状態では、挿入損失0.82dBとなり、集積化における過剰損失は0.19dBに抑えられた。この結果、ファイバ集積化構造の小型化・一括集積化・高生産性などの有用性が示された。さらにチップを2段構成にすること、逆方向損失特性を50dB以上に改善できることも確認した。
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