研究概要 |
本研究は、空間的に非線形な作用を有するフィードバック光学システムを構築し、画像の記録やキ-画像による複数画像の検索、画像の暗号化への新しい手法を提案し、実証することを目的としていた。実際、システムを構築し、その出力を観測すると、多彩な現象がそこに存在することが解ってきた。そこで、応用研究を行う前に、非線形光フィードバックシステム、そのもの研究を行う必要があること考えられた。特に、興味深いことは、双安定現象や自発的パターン形成と呼ばれる現象であり、本研究では、それらの研究を重点的に行った。 非線形光フィードバックシステムは、平行配向液晶空間光変調素子を含むフィードバック光学系により構成される。光双安定性が素子への印加電圧を制御することにより制御できること、および、フィードバック光学系内の相互作用の変化により制御可能であることを明らかにした。自発的パターン形成の研究では、相互作用が光の回折現象に基づく場合、自然発生的に六角状やロール状のパターン形成が起こることを示し、そのパターンピッチが光フィードバックの光路長変化の1/2乗に比例することが解った。さらに、自然形成されるパターンはビーム形状に強く依存し、六角状やロール状とは異なるパターンが形成される。正方形のビーム形状の場合、形成されるパターンはビームサイズと回折距離の関係によって定まる正方状の輝点列が発生し、円形のビーム形状の場合、同心円上に円周の長さと回折距離に応じて多角形の輝点列が発生することをそれぞれ実験的、数値解析的に示した。 これらの研究成果は、第57回応用物理学会学術講演会(予稿集No.3,8p-ZS-9p.802)及び光学連合シンボジウム福岡'96(予稿集7pC04 pp.245-246)で口頭発表を行い。第44回応用物理学関係連合講演会で口頭発表の予定がある。現在、英文誌に投稿中が1件、投稿予定が1件ある。
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