生体など光を強く散乱する媒質の画像情報を得るためには、散乱光と画像情報を持った微弱光の分離が必要である。本研究では、これらの信号がpsオーダーの僅かな時間差を持って媒質を通過してくる性質を利用して、画像情報部分を時間ゲート機能を持った光増幅器を用いて選択的に増幅し取り出すこを研究の目的とした。 本年度は、Ba(NO_3)_2結晶中での誘導ラマン散乱過程を利用して時間ゲート光増幅器を開発した。時間幅、50psの励起パルスを利用することにより50psの時間ゲートとともに、最大、10^9の増幅率を得た。この増幅率は、光電子増倍管に匹敵する増幅率であり、特殊な光検出器を利用することなく微弱な光を検出するために必要なレベルまで光増幅が可能であることを示している。次に、この増幅器によって2次元の画像情報の増幅を試みたところ、10^8までの増幅率が得られることがわかった。 これら基礎実験をもとに本増副器を散乱物質を透過した散乱光から画像情報を取り出すための基礎実験を行った。散乱媒質として、インターリピッド溶液を用いた。プローブ光としてはNd : YAGレーザーの第二高調波をラマン変換したストークス光(563nm)として用いた。その結果、10^<-9>程度の減衰率を持つ溶媒を通過した散乱光から画像情報を取り出すことに成功した。 なお、本研究は本年米国にて開かれる国際会議CLEO'97の招待講演に選出されている。
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