高効率的な並列有限要素解析システムを考える場合に、単に有限要素法コードを並列化するだけでは不十分であり、その並列化手法に適したデータの分割方法について考える必要がある。特に、領域分割法、EBE型の並列有限要素法においては、対象となる(一体の)領域をプロセッサ数などのユーザが予め定めた条件のもとで、並列有限要素法の解析コードが高並列化されるように領域分割しなければならない。具体的には、EBE法をはじめプロセッサ空間と解析すべき対象を静的に関係づける手法の場合、要素数あるいは節点数が等しく、かつプロセッサ間の通信量が最低になるように分割する必要がある。現状では多くの研究者が、上記条件を満たすように手動で分割しているのが現状であり、並列有限要素法の実用化のためには、なんらかの手法により「自動的に」分割することが必須である。 そこで、本研究では、簡単な例題として20*20の四角形要素からなる矩形領域を16分割する場合を考え、まず、よく利用されている(a)単純に400要素を16で割り、先頭から25要素ずつをまとめて1部分領域とする方法、(b)要素1は部分領域1、要素2は部分領域2、、、というように16の剰余系で領域分割する方法では、どちらも通信に対する負荷が大きくなりすぎることを示した。次に、種となる要素から回りの要素を取り込むことによって領域分割をする発見的な方法について検討し、 ・乱数のよって核となる要素を選択する ・ただし予め指定した距離以上に近い場合には核として採用しない 一度ある領域に分配された要素であっても一定の条件の下で再分配する 方法により、十分に少ない計算時間で適当に優れた領域分割が得られることを確認した。
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