拡散火炎の本質を把握する上で、階層的に微視から巨視に至る火炎構造をとらえることは重要課題である。拡散火炎混合過程における各階層での秩序的な火炎構造をとらえかつ、そのつながりの規則を研究することは、反応を伴う拡散作用の動的燃焼システムを解明することにつながり、従来の実験結果をより深く理解でき、従来にない燃焼工学的な見地を見出す可能性を内在している。特に、微視的火炎構造の性状を研究することは、燃焼限界や燃焼範囲等の物理的燃焼特性を詳細に説明するに留まらず、分子レベルでの燃焼工学的考察を必要性の指針を含んでいる。 本研究では、Re数(Re数と略す)を構成する流体力学的因子であるバ-ナ出口直径と噴出速度に着目し、Re数を関数として定常拡散火炎が形成できる範囲を観察し、直接写真撮影法及び目視により測定した実験結果によりその燃焼特性を評価した。燃焼バ-ナは、40〜700μmの出口直径を有するマイクロバ-ナを用い、上限(吹き飛び寸前に対応する)及び下限(消炎寸前に対応に対応する)Re数を求めその火炎形状及び燃焼特性について種々検討し、特異な燃焼特性を示す拡散火炎が存在することを示した。 ここでは、主に下限レイノルズ数でのメタン燃料(CH_4)によって形成されるマイクロフレームを可視化し、幾何学的及び燃焼工学的特性を定量的に評価することにより、分子拡散作用の燃焼特性に与える影響を具体的に明らかにした。また、本研究で用いた可視化法は、燃焼領域を撮影するための直接撮影法と火炎形成領域を撮影するためのレーザ・シャドウグラフ法を用いた。さらに、通常のマイクロフレームをさらに微小並びパルス化し制御する目的のために、マイクロバ-ナによる2重管を製作し、マイクロツールとしての拡散火炎の燃焼特性を直接撮影法により可視化した。この2重マイクロフレームを開発することにより、単純バ-ナでは形成不可能な微小拡散火炎を実現でき、その燃焼特性を考察し、マイクロツールとしての実現の可能性を示した。
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