研究概要 |
複雑な反応過程がなく、構造が単純で解析しやすい対向流拡散火炎に高電圧を印加して、その火炎プラズマの反応制御性の検討と放電現象の把握を行なった。 (1)直流印加法と比較して交流印加法の方は、均一放電プラズマからアークに遷移する限界電流値が200倍以上高いことが確認された。直流電圧印加では電流が2kV程度で飽和傾向に達するのに対し、交流では指数関数的に増加していく。このことから、火炎内部の反応を電圧(電流)で制御する場合、交番的な電圧印加制御法が好ましいことがわかった。 (2)放電および放電なしにおける火炎構造(濃度分布、電位分布、温度分布等)の比較・検討を行なった。結果として、1.放電印加により,燃料内の分解が激しく起こり、燃料消費率が高くなっていること、2.反応帯が通常の火炎より広いことから、その領域近傍で高濃度の活性種(ラジカル)が生成している可能性があること、が明かとなった。反応帯が広い領域で観測されるという高反応場が初めて得られた。 (3)高流高電圧を印加した場合、酸化剤側の青炎部領域は増加し、輝度も増加する。高電圧を印加することによって、対向流拡散火炎から排出されるすすおよび輝炎は陰極方向に引き寄せられる。すすが陰極に引き寄せられる理由は、炭素イオンの運動量が電子のそれと比較して数十倍以上大きいためである。すすの発生の促進または抑制には電極の極性が関与しており、高電界中のすす粒子は微細化されている。 (3)従来の燃焼制御は、ブイゼン燃焼などの実用化されている技術に見られるように、燃料とその酸化剤である空気との混合触媒を促進することによる物理的な反応制御方法である。本研究では、それとは別に、火炎内の励起化学種の放電操作による直接的な燃焼反応制御の方式を模索した。
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