本研究は、遠隔地にいる指示者から被指示者に対する作業指示を支援するシステムを構築することを目的としている。そのために、3自由度のマニプレータにカメラを搭載したカメラロボットを構築した。このロボットには小型のパーソナルコンピュータと、マニプレータ駆動用の回路が搭載されており、自律的に姿勢を制御することができる。このロボットを遠隔操作することによって、指示者は被指示者の環境を自由に見回すことができる。 このマニプレータには赤外線通信装置が搭載されており、被指示者の環境内の、同様の通信装置を持った機器と通信することができる。指示者がカメラロボットを操作して遠隔地を見回すと、ロボットは赤外線通信を利用して、どのような機器が存在するかを認識し、指示者の見ている映像にスーパーインポーズして表示する。また、システムはその機器に対応したマニュアルを検索して、指示者や被指示者に提示することができる。 このシステムを利用して、遠隔作業指示の簡単な実験を行ってみたところ、機器の認識機能やマニュアルの表示機能によって、作業指示が行いやすくなるという感想を得た。ただし、システムの操作性能やヒューマンインタフェースに対する問題点も明らかになり、次年度以降の研究課題を得ることができた。遠隔ショールームを模擬した簡単な実験を実施してみたところ、類似した機器がならんでいても、認識機能によって個々の機器を識別することが可能であること、また機器に対応した説明書が表示されることなどによって、良好に機能することが確認できた。
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