研究概要 |
本研究では,従来の産業用ロボットをベースとしたマスタスレーブシステムではなく,システム構成から操作法さらに操作系設計に至るまで,遠隔外科手術のために独自に開発を進めた. (1)血管・神経を縫合するなどのマイクロ外科手術では,微細作業(マイクロマニピュレーション)術の応用が重要である.医療分野におけるマイクロマニピュレーションについて検討を行い,これに適したマニピュレータの構造および構成について明らかにした. (2) 顕微鏡をのぞいて手術する場合,顕微鏡をのぞく姿勢を維持しなくてはならないために,身体の疲労をかなり伴う.しかも,微細な手術をしているという感覚から常に集中力が要求される.そこで,手術が容易に行え,しかも長時間におよぶ大手術でも疲労が少なくなるような遠隔操作手法を明らかにした. (3)遠隔操作する場合,通信遅れが非常に問題となり安定性を損なう要因となっている.また,マイクロマニピュレーションにおいて,マスタとスレーブの間で位置および力の適切なスケーリングを行う必要がある.そこで,通信遅れおよびスケール効果を考慮した制御系の設計法を明らかにした.
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