電気事業法改正に伴う規制緩和により、独立系発電会社の電気事業への参加が可能となった。これらの発電会社の発電する電力は安価であるものの、系統接続により安全性や経済性が損なわれる恐れがあり、総合的な電気エネルギーという観点からの検討が必要である。これまでの研究では電力系統運用を電力会社による独占事業としてとらえ、系統の安全性を確保しつつ経済的な運用を行っているが、独立系発電会社が参入することにより、1社だけの利益を考える運転ではなく、公平な費用負担に基づく競争を考慮した運用が求められる。 本研究では、独立系発電会社の参入を考慮した最適系統運用に基づく、限界費用算定手法についての検討を行った。電力系統の最適運用を実現するための手法として、ニュートン型最適潮流計算法を用い、すべての制約に対してラグランジュ関数法を導入することで、供給-需要に対する感度を求めることができる。この拡張最適潮流計算法のプロトタイププログラムを作成し、テスト系統に適用した。得られる限界費用を用いて、独立系発電会社参入に伴う既存電力会社のコスト上昇分(UPLIFT)を容易に計算できるようになった。 今後の研究課題としては、電力を安定供給する上で考慮しなければならない電圧-無効電力特性に関するUPLIFTの影響があり、本研究を拡張することにより検討を行っていく予定である。
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