研究概要 |
本研究は、30kA級の大電流超伝導コイル励磁直流電源の出力リプル電圧をその制御特性損ねることなく低減するアクティブフィルタの開発を目的とした。従来から広く使われている直列型アクティブフィルタ構成では全通電電流がフィルタ回路を通過し、フィルタ部の電圧降下が主回路電圧と比較して無視できないことから、主整流器と並列にフィルタ回路を設置する並列アクティブフィルタに関して検討を進めた。検討の結果、主整流器がサイリスタ整流回路であり、単極性出力電流、両極性出力電圧の2象限運転であることから、同様な2象限運転が可能なIGBT PWMコンバータの採用を決定した。まず、運転特性を把握するために計算機シミュレーションによる検討を行った。並列型フィルタ回路の運転において,保証すべき電流は交流電流のリプル成分であり、これを直接保証するとコンバータインバータ構成をとる必要がある。この構成は、回路構成および制御器構成を複雑にするため、リプル電流と同程度の直流循環電流を主整流器一フィルタ回路間に流す構成とした。これにより、回路の単純化のみでなく、サイリスタ主整流器回路の最低通電電流を保証し、低電流領域での主整流回路の動作安定化に寄与することが示された。また、電源装置の出力電流の微小制御にも循環電流制御が有効に寄与することが確認できた。次に、大電力設備で問題となる設備容量に関して、理論的に主整流回路とフィルタ回路の設備容量比を求めた。その結果、核融合科学研究所で建設中のLHDコイル電源に適用した場合、フィルタ容量は主回路容量の1%程度と極めて少くて済むことが確かめられた。最後に、実験室レベルでの模擬実験を制作した。本実験回路を用いた試験は、平成9年度に行う予定である。
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