東北大学電気通信研究所の澤田教授らのグループによって開発されたSDAM(Switched Diffusion Analog Memory)デバイスは、フローティングゲートの電位をアナログ値として記憶するデバイスである。SDAMデバイスは、フローティングゲートを備えたMOSデバイス、トンネル接合を備えたフローティングゲートへの電荷注入(排出)部、及びMOSデバイス上のフローティングゲート部への電荷の拡散を制御するTFT(Thin-Film Transistor)から構成され、これまで神経回路網や連想メモリに集積化に応用されてきた。 本研究では、まずこれまでのSDAMデバイスのパラメータについて、素子面積、特にキャパシタの面積が削減できるようなパラメータについてシミュレーションを通して再検討した。その結果、ソースフォロアによるフィードバック方式を採用することで、書き込み電位の線形性を向上させ、なおかつキャパシタの面積を十分の一以下に低減することができた。次に微細加工プロセスとして、トンネル酸化層部とフローティングゲートの段差を平坦化法として、これまでのサイドウォール法に代えてレジイストエッチバック法を採用した。実際に集積回路を作製し、その測定の結果、MOSデバイスの歩留まりが飛躍的に向上したことが確認できた。また、TFTやキャパシタの特性についても改善が見られ、アナログメモリデバイスの高集積化実現への基本方針が確立された。
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