ミリ波帯においては波長に比べて無視できないスロット幅やスロット板の板厚の影響をモーメント法解析に組み込んだ。具体的には、モーメント法での基底関数として、クロススロットを断面とする導波管のモード関数を用いることを提案した。4GHz帯での基礎実験を行った。スロットの放射量の周波数特性を本解析法により正しく定量的に評価することに成功した。また、密に配置されたスロットの外部領域での相互作用の影響を正しく評価する方法として、周期境界壁を有する方形導波管で置き換えることを提案した。具体的には、約50度のビームチルトに相当する波数のモードで展開した。この手法による評価は、スペクトル領域法での結果と一致した。 ミリ波帯1層構造導波管アレーにおける溝構造給電回路とスロット板の電気的接着法として、導電性接着剤、レーザ溶着、ロウ付けの3種類を検討した。22GHz帯での試作を行ったところ、ロウ付け、レーザ溶着、接着剤の順で高効率の特性が得られた。レーザ溶着では、スロット板のみが熱せられるため、スロット板だけが伸び、スロットの励振分布に周期的な変動が見られた。わずか0.25mmのスロット板の伸びで-12dBの高いサイドローブが発生することが分かった。また、ロウ付けでは、給電回路とスロット板の両方が暖められるため、両者が若干伸びても励振分布の一様性には影響を与えないことが分かった。
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