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1996 年度 実績報告書

感覚尺度と後天的学習による空間位置知覚量生成の機序となる脳機能の解明

研究課題

研究課題/領域番号 08750500
研究機関東京大学

研究代表者

前田 太郎  東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00260521)

キーワード脳動性・受動性 / 知覚運動協応 / 感覚統合 / プリズム順応 / 側方性変換視野
研究概要

本研究では人間が両眼視や上肢運動によって空間位置を捉らえる際に用いている生体信号を同定し,これらの感覚に基づいて空間の位置を判断させる心理物理実験を行った.この過程において上肢運動の能動性と受動性の違いによって空間の知覚に差が出ることが判明した.感覚と運動の統合過程において運動の能動性がもたらす影響というものについては,自発運動による運動指令の遠心性コピーが強く関与しているとするパラダイムが主流である.これは,運動の能動性と受動性の違いが運動指令の生成の有無にある,という捉え方によるものであるが,今回,この能動運動/受動運動というパラダイムについて再検討の必要があることを示す現象が確認された.受動性の視覚性到達運動を計測したところ,その到達誤差の傾向は能動性のものとは違うものの,固有受容感覚性注視運動において見られた傾向に酷似するものであった.この現象は,これらの差が運動の能動性というよりも感覚統合の意図性の問題から生じていることを示唆する.そこでこの仮説を検証するために,感覚統合を伴わない固有受容感覚性の到達運動実験を設定し実験を行ったところ,この条件下では能動性/受動性の運動による差は検出されなかった.このことから,運動の能動性/受動性の違いによる位置知覚への影響は従来のパラダイムである自発運動指令の遠心性コピーによるものではなく,運動の制約条件によって生じた制御部位の変化によって異なる感覚統合過程が用いられた結果である可能性が示された.この結果から人間の脳の持つ感覚統合の機能について,その情報処理のメカニズムの特徴を構成的に解明することができた.

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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