本研究ではスライス画像から精度のよい任意切断面画像を作成する手法の開発を行った。スライス間隔が大きい場合でも精度のよい切断面画像を作成するために、物体表面上にその物体が変位する方向ベクトルを設定し、それらの変位方向ベクトルを用いて画像補間を行い切断面画像を作成する手法を開発した。すなわち、次に示す物体形状を考慮した画像補間手法を開発し、それをコンピュータ上にインプリメントした。 1.微小三角形パッチにより再構築された3次元形状を用いて、その物体や内部要素がスライス画像間で変位する方向ベクトルを、物体や各要素の表面上において求める。 2.物体や内部要素の表面上に発生させた変位方向ベクトルの始点と終点を用いて、各スライス画像中の物体内部領域を三角形に分割する。三角形分割にはDelaunayの手法を用いる。 3.切断面が入力されれば、物体内部領域の三角形分割形状と三角形の各頂点から発生している変位方向ベクトルを用いて、切断面画像の画素中心を通る変位方向ベクトルを補間により求める。 4.補間によって求めた変位ベクトルの始点と終点の画素値を補間することにより切断面画像の画素値を決定する。 開発した手法を用いて、解剖学の生物発生過程の研究で用いられているマウス胚子の切片顕微鏡写真のスライス画像から、さまざまな方向の切断面画像を作成し、開発した手法の有用性の検証を行った。
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