研究概要 |
砂を等方圧密状態から非排水定速せん断したときの最大過剰間隙水圧比u_fを流動ポテンシャルと定義した。本研究ではでは広い一様な傾斜地盤の流動などの代表的な変形状態を考え、単純せん断試験を行った。中空ねじりせん断試験機を用い、豊浦標準砂の供試体(外径10cm,内径6cm,高さ20cm)に対し、供試体高さと体積の変化および内セル体積変化を拘束してねじりせん断を加えた。初期拘束圧p_e'=50〜400kPaの条件で単純せん断試験を行い、豊浦砂の密度と流動ポテンシャルu_fの関係を評価した。相対密度・有効上載圧σ_v'と標準貫入試験のN値の関係としてSkemptonの式を用いることにより、N値をu_fの関数として表すことができる。いろいろな土に対してこのような相関を求めておけば、N値から地盤の流動ポテンシャルを簡易に推定できる。このように室内せん断試験や標準貫入試験から流動ポテンシャルu_fが推定できれば、流動ポテンシャルu_fと土の残留強度S_uの間の関係を考察することにより、次のように地震時の地盤の流動評価を行うことができる。 1)完全流動 u_f=100のとき、著しい軟化とともに過剰間隙水圧が100%まで上昇し、土は残留強度ゼロの液体状態で流動する。傾斜地盤は完全に水平となるまで流動する。 2)限定流動 地震時の液状化の際、残留強度S_uが重力による静的荷重τ_<st>より小さいと流動が発生する。単純せん断時には実験結果よりφ_s=33°,b_s=0.25とし、またK_o=0.5を仮定することにより限定流動の発生条件は100(1-3.0τ_<st>/σ_v')<u_f<100となる。この場合、ひとたび流動が発生すると振動終了後も流動は継続し、静的せん断荷重が残留強度と釣り合うまで流動は進行する。 3)サイクリックモビリティ u_f<100(1-3.0τ_<st>/σ_v')のとき流動は発生せず、動的載荷の終了と同時に地盤の変形も終了する。
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