研究概要 |
応力状態の差違が、不飽和粘性土のせん断特性について与える影響を調べた。中空ねじりせん断試験装置を、内セル内と中空内の水頭変化を差圧計で測定することにより、不飽和供試体の全てのひずみ成分が測定可能になった。実験は応力サクション履歴が明確な供試体に対して、サクション一定および含水比一定試験を行った。またせん断条件は主応力方向α=45°,中間主応力係数b=0.5である。その結果次のことがわかった。 ・不飽和粘性土の応力-ひずみ曲線では、偏差応力に最大値が存在し、その後残留強度に至るひずみ軟化型の挙動を示す。つまりサクションは土を過圧密化させる作用がある。 ・ピーク強度時の状態を(p-u_a)-q平面で整理すると、サクションの大きさに応じて飽和土の限界状態線と平行に移動していく。 ・残留状態を(p-u_a)-q平面で整理すると、サクションの値によらず、飽和土の限界状態線と平行な1本の直線で表せる。 ・サクションによる強度増加は、三軸圧縮時より中空ねじりせん断時の方が小さい。 ・破壊時の間隙比が等しければ、せん断強度はほぼ等しくなる。つまりサクションにより間隙比が変化し、それに応じた強度増加があるといえる。
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