不飽和土の三軸試験機では、加圧法によりサクション制御する方法が多く用いられている。この方法においてはセラミックディスクに対して載荷できる間隙空気圧は1500kPa程度であり、これが加圧法によるサクション制御の限界となっている。本研究では『蒸気圧法』によりサクションを制御する三軸試験機を開発し、さらに高いサクション下での不飽和土の実験を行い、提案構成モデルの適用性を検討した。このため現有の三軸セルの載荷キャップを改造した。具体的には、一定濃度の塩基水溶液をキャップ内に格納できる空間をつくり、その水蒸気が供試体の間隙空気に通じるような空気経路を設けた。実験には市販の粘土粉末(液性限界43%、塑性指数13.4%)を試料として用いた。気乾試料を含水比調整の後、四つ割りモ-ルドを用いて試料を締固めて成形し、円柱供試体(直径50mm、高さ100mm)として実験に用いた。そして、蒸気圧法による高い一定のサクション条件下での等方圧縮試験を実施し、加圧法による従来の結果と比較検討した。その結果、圧縮時の圧縮指数は、従来と同様に一定となる傾向を示した。その後、高いサクション条件下で三軸圧縮・伸張せん断試験を行った。実験は応力制御法により段階載荷で行った。この時の各段階の打ち切り時間は、排水量を基準として判断した。この試験による破壊時のせん断応力に基づくサクション応力は、従来の加圧法により求められたサクション〜サクション応力関係に近い値を示した。また、提案構成式による変形の予測結果は実測値に近い傾向を示した。
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