研究概要 |
吉國が提案した一次元弾粘性圧密理論は一次元の圧密理論であるため,より広範囲な問題に適応するためには理論の三次元化が必要である.本研究は吉國により提案された一次元弾粘性圧密理論を三次元に拡張するための基礎的研究として,様々な応力条件下で三次元有効応力緩和試験を行い,三次元有効応力緩和特性について実験的に検討した. 本研究は,室内で練り返し再圧密した沖積粘性土を用い,様々な応力点において三次元有効応力緩和試験を行った.試験を行った応力点は応力比k(=σ_3/σ_1)を1.0,0.8,0.6,0.5,平均有効応力σ′mを80,160,320,640kPaと変化させた計10ケースで,各点に達した後有効応力緩和試験を行った.試験結果をもとに有効応力緩和特性の応力依存性,これまでに提案した弾粘性理論の係数決定法の妥当性の2点に主眼を置いて実験的に検討した.以下に検討結果を記す. 1.発生間隙水圧を初期の全応力で除して正規化すると,正規化した過剰間隙水圧は時間の対数に対し直線的に増加し,対数時間に対する間隙水圧の発生速度,すなわち有効応力緩和の緩和速度の一定性を認めるならば,有効応力の全てが緩和することになる. 2.正規化した過剰間隙水圧と平均有効応力緩和量は応力レベル,応力比に依存しない. 3.平均有効応力の緩和速度は平均有効応力の対数軸に対し直線的となり,その傾きは応力比に依存しない. 4.有効応力緩和速度から求めた体積粘性係数平面もせん断粘性係数平面も応力レベル,応力比によらず唯一存在すると考えられ,これまでに提案された粘性係数決定法の妥当性が確認された.
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