土木計画学の分野では、生活基盤施設整備計画とその計画目標を社会的総余剰の最大化等の概念を用いて制約付き数理最適化問題として定式化し、最適解を求めることにより実際の計画を評価・検討してきた。本研究では、このようなミクロ経済学的な評価手法を、交通ネットワーク構造分析におけるアクセシビリティー関数の概念に置き換えることにより、各都市間のアクセシビリティーの公平性や、交通ネットワーク全体でのアクセシビリティーの最大化、ある部分ネットワーク、例えば地方自治体が政策としてとるべき最適な交通ネットワーク整備方策等を数理最適化手法の枠組みを用いて検討することを目的として研究を進めてきた。 前年度からの課題であるアクセシビリティー関数についていくつかの検討すべき課題を整理したのち、交通ネットワーク構造分析を用いた交通ネットワーク整備計画の検討を行うための手法の構築を行った。本年度はアクセシビリティー関数に関する理論をノード間に異種モードが存在する場合のモード間の代替性と従来から研究が行われてきたノード間の信頼性・安全性についても拡張可能なアクセシビリティー関数の理論として精微化した。また、GISシステムについても、モードごとのデータベースシステムとして再構築し、異種モードを含む都市のアクセシビリティー評価を支援するシステムに改良した。続いて、交通ネットワーク整備計画問題を交通ネットワーク構造分析の枠組みを用いて数理最適化問題として定式化した。この問題については、前半のアクセシビリティー関数の理論面での検討に時間を要したため更なる検討が必要である。
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