本研究は、地方都市郊外で近年比較的多く整備されるようになった、広分譲区画を基本とした住宅地整備に関し、その居住者構成、転出者の構造、居住者・転出者の居住地環境評価について分析を行ない、この種の整備の基礎的な事後評価を行なったものである。対象地区は、宮崎市学園木花代地区である。当地区は、平均区画が100坪弱の戸建て住宅を基本とした住宅地で、第1回目の分譲から約10年が経過し事後評価を行うべき時期に来ている。分析の結果、以下のようなことが明らかになった。 1.地区全体としては、子育て層と60歳以上の世帯主のリタイア層、およびリタイヤを見越した世代が全世帯に占める割合が特化しており、年代的に均質化した住宅地が構成されているといえる。また、丁目ごとにみると、分譲時期、公団と民間による分譲区画比の違いなどから、特に子育て層が多い丁目、リタイヤ層が多い丁目が存在している。リタイヤ層が多い丁目は、バブル期の分譲比率が多いといえる。 2.当地区からの転出者したと考えられる者を、住民基本台帳と土地登記簿の比較から推定した結果、87件が存在した。全世帯数が816件に対して10%強と非常に多い。このうちいくらかは借家化していると考えられる。また、転出の多くは世帯主年齢から転勤によると考えられるが、高齢者の転出も7件存在している。また、1年未満の住居機関しかないものが非常に多いことから、転売規制、建築条件などと関連したダミ-的な動きが多いといえよう。 3.現居住者と転出者に対して、居住地環境評価に対するアンケートを行なった結果、多くは満足していることが明らかになったが、進学校の校区や交通利便性などで不満があることが明らかになった。ただし、これらと転出行動の関係は。サンプル数の関係で検定できなかった。 特に、理由や、転出者の木花台の居住環境評価などについては、彼らが居住条件・転売規制などを遵守していないことから、アンケート回答数が少なく、統計的分析や行動モデル構築に至らなかった。また、地区内の世代や所得層の均質化がコミュニティに及ぼす影響などについては、今後の検討課題としたい。
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