本研究の目的は、気象衛星画像を元にして大気中の水平方向と高度方向の雲の3次元的な分布をモデル化し、そのときの太陽位置(高度と方位角)をパラメータとして、天空の輝度分布を予測する手法を開発することである。本研究では、大気の状態を直接的にモデル化し、気象衛星画像データをパラメータとして天空輝度分布を予測する。この昼光光源モデルは、地上での実測データに依存するこれまでの回帰モデルとは異なり、天空輝度分布、直射日光照度、全天空照度など地上での測定データに依存しないので、測定所の設置が困難な地域にも適用することができる。 まず、気象衛星(ひまわり)が1時間毎に撮影する地球表面の可視光線画像および赤外線画像に画像処理を施し、大気中の雲の反射率と温度の水平分布を6kmメッシュで求めた。つぎに、大気モデルにより雲の温度を高度に変換し、高度と反射率の組み合わせによって、雲形を同定した。さらに、雲形と太陽高度による雲の吸収率モデルにより雲の透過率を求め、雲頂の全昼光照度によって雲底の輝度を求めた。また、気象衛星の撮影と同期して、地上で天頂輝度と全天空照度を実測し、予測手法の精度を検証した。 今後、様々な天候、季節、時刻の画像の蓄積による雲形の同定精度の向上、大気の放射伝達過程を考慮した日射のモデル化、建築設計への応用技術の開発など、課題を残している。
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