市街地の土地利用遷移の動向は、都市計画の基本的な関心事の一つであり、その特性を明らかにすることは意義があろう。特に、土地利用遷移の大きな要因のひとつではないかと予想され、しかも都市計画の重要な対象である街路が土地利用遷移に及ぼす影響を明らかにすることは重要性が高い。そこで本研究では、街路網整備水準と土地利用遷移を比較することによって、この影響を分析する手法を開発した。 まず街路網、土地利用のデータを扱うシステムを構築した。データとしては、国土地理院の数値地図10000および国土地理院細密数値情報10メートルメッシュ土地利用データを使用した。計算機としては、数値地図の処理に地理情報システムを搭載したPC、土地利用などの大規模データの処理にWSを使用し、両者をLANで結合して、データの交換を可能にした。 このシステムに立脚して、周囲の道路量、周囲の道路幅員、街路網の整形性・規則性、周辺への到達利便性に着目した街路網評価指標を開発した。一方、国土地理院細密数値情報にもとづき、土地利用遷移を多項分布によって確率モデル化した。この確率の値と街路網評価指標に関連があるかどうかを調べれば、街路網整備水準が土地利用遷移に影響を及ぼしているかどうかの判断のための知見が得られる。そこで、街路網評価指標を含む諸要因について確率の値が異なっているかどうかを、赤池情報量基準にもとづいて検討する手法を開発した。最後にこの手法を東京都区部西部のデータに適用して実用性を検討した。
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