ロンボク島原住民であるササック族の伝統的住居の形態は2種類ある。それぞれ北部のバヤン村周辺、南部と地域的に住みわけがされている。どちらとも地床式の住居であるが、前者は住居内に高床の倉もつという点で、後者は住居内に高さ1.2m前後の土壇をもつという点で興味深い。ジャワ・バリ・ロンボクには一般に地床式住居が分布するとされているが、生活空間における床のレベルは様々である。大きくは3つの床レベルがある。テラスすなわち生活の中心となる床レベルと就寝のための床レベルと貯蔵のための床レベルである。 床レベルという視点でインドネシアの住居を見るとき、一般には地床式、高床式と違いを見せる様々な住居においても、床レベルとしては共通していることがわかる。 様々な床レベルがあるなかで、テラスが生活空間の中で重要である。テラスが別棟で設けられるロンボク島バヤン村の例を見てみると、住居形態が近年大きく変化しているのに対して、テラスであるブルガberugakはほとんどの世帯で所有されている。 断面的には3つの床レベル、平面的には、私的な空間と外部空間をつなぐセミ・パブリックな空間の存在が、インドネシアの住居の共通項としてあげられる。その共通項をベースにしたがら、各民族、各地域ごとにさまざまな社会的、文化的バックグランドの大きな影響を受け、多様な住居集落形態が形成されていると考えられる。
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