研究概要 |
1.Siの(100),(110)および(111)単結晶基板上にAlとCuをそれぞれ真空蒸着し、形成されたエピタキシャル方位関係を調べた。なお、今回の設備備品費で購入した試料固定治具は、真空蒸着の際Si基板を固定するために用いた。 2.AlもCuもともにSi基板上でエピタキシャル成長するものの、CuとSiの間で形成されるエピタキシャル方位関係は、AlとSiの間で形成されるものと異なっていた。AlとSiの間のエピタキシャル方位関係は、ZurとMcCillが提唱した超格子対応を用いた幾何学的考え方でうまく実験結果を説明できる。しかし、CuとSiの間で形成されるエピタキシャル方位関係の優先性やCuとAlの違いを説明することはできない。そこで、本研究では、格子対応の選択として、O格子理論を基に、基本格子対応を用い、これまでの幾何学的クライテリアを修正した。この新たな幾何学的クライテリアを用いれば、Al、Cuのそれぞれの実験結果を合理的に説明することができ、2つの金属で形成されるエピタキシャル方位関係が異なる理由も理解できた。 本研究で考案した幾何学的クライテリアは、Al、Cuに限らず、格子定数が大きく異なる物質同士のエピタキシャル方位関係にも適用できる汎用性を持つものである。 本研究で得られた研究成果はすでに国際会議で発表を終え、会議録が平成9年中に出版されることになっている。
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