無機超微粒子の表面に、デンドリマ-や高度に分岐した構造を有するポリマーをグラフトすることにより、これらの無機超微粒子が非相溶型ポリマーアロイとの複合材料系で利用された場合の、無機超微粒子の分散相を、任意に、しかも精密に制御することを目的とした。 無機超微粒子としてカーボンブラック及びシリカを取り上げ、粒子表面に導入したアミノ基を利用したマイケル付加反応、及び、これに続くアミド化反応による末端アミノ基の導入反応を、交互に繰り返すことにより、粒子表面にデンドリマ-をグラフトできることがわかった。この際、デンドリマ-のグラフト率は、反応が不均一系で進行するために、反応を繰り返す毎に理論値よりも低下していくことが明らかになった。また、グラフト鎖間の立体障害のために、反応の開始核となる粒子表面へのアミノ基の導入量は、0.40mmol/gが最適であることもわかった。次に、アゾ基を導入した無機超微粒子を用いて、ペンダントにペルオキシエステル(CO-O-O)基を持つポリマーを粒子表面に1次グラフトし、次いで、導入したペンダントCO-O-O基を用いて、メタクリル酸グリシジルの2次グラフト重合を行うことにより導入したエポキシ基を足場として、2次グラフト鎖中にペンダントアゾ基を導入した。これらの一連の反応を数回繰り返すことにより、粒子表面に高度に分岐した構造を有するコポリマーをグラフトできることが明らかになった。 得られたポリマーグラフト化無機超微粒子を、非相溶型ポリマーアロイ(ナイロン6/変性ポリオレフェン系)中へ分散させ、その分散状態を透過型電子顕微鏡により観察したところ、デンドリマ-(単一性分)をグラフトしたものは、グラフト鎖と相溶性の良いナイロン中へのみ選択的に分散するのに対して、2次グラフト化により分岐コポリマー(2成分)をグラフトしたものは、ポリマーアロイ中へ均一に分散することが確認できた。
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