本研究では、酸化ルテニウム薄膜をアルコキシド法により作製し、各種のガスセンサー素子あるいは薄膜中に直接電圧を印加し触媒を直接加熱できる自己発熱型触媒の開発と評価を試みた。本研究で得られた実績の概要を以下に示す。 1.酸化ルテニウム薄膜の作製 塩化ルテニウムを原料としてこれをジオール中に溶解させ、還流の後、増粘材を加えることによって安定なルテニウムアルコキシド溶液を調整した。調整した溶液中にガラス基板、アルミナハニカムをそれぞれ浸し、一定速度でこれらを引き上げ、その後、空気中で乾燥、焼成することによって酸化ルテニウム薄膜を作製することに成功した。 2.酸化ルテニウム薄膜の評価 作製した酸化ルテニウム薄膜は、空気中573K以上の熱処理によりアモルファス構造から結晶構造へと変化すること、また、結晶化した薄膜は粒径約20nmの粒子膜で非常に高表面積を有することを解明した。また、電気特性の評価の結果、n型半導体膜であることも確認された。 3.ガスセンサー素子および自己発熱型触媒の作製とその応用 ガスセンサー素子は、ガラス基板上に酸化ルテニウム薄膜を作製し、その上に金の櫛形電極を蒸着して作製した。一酸化炭素ガスに対する感能特性を調べた結果、検知ガスに対し5秒以内でセンサー表面電気抵抗が著しく変化することが分かった。また、自己発熱型触媒は、アルミナハニカム上に酸化ルテニウム薄膜を作製したものを用いハニカム両端に電極を付け適当な電圧が印加できる構造とした。得られた触媒を用い一酸化窒素の分解特性を評価した結果、他の実用触媒と遜色ない結果が得られた。
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