層状ニオブ酸塩K_4Nb_6O_<17>の層間へ、トリスピリジルルテニウム錯体(Ru(bpy)_3^<2+>)とメチルビオロゲン(MV^<2+>)とを交互にインターカレートさせ、Ru(bpy)_3^<2+>とMV^<2+>がニオブ酸化物層を挟んで隔てられたRu(bpy)_3^<2+>/[Nb_6O_<17>]^<4->/MV^<2+>/[Nb_6O_<17>]^<4->なる分子レベル交互積層構造を有する層状組織体を作成した。まずK_4Nb_6O_<17>とヘキシルアンモニウムイオン(HA^+)との反応によってHA^+/[Nb_6O_<17>]^<4->/HA^+/[Nb_6O_<17>]^<4->の積層構造を有するHA^+-K_4Nb_6O_<17>層間化合物を調製し、次にこれをMV^<2+>と反応させてHA^+/[Nb_6O_<17>]^<4->/MV^<2+>/[Nb_6O_<17>]^<4->なる交互積層構造の層間化合物を得た。さらにこれをRu(bpy)_3^2と反応させ、目的の交互積層構造Ru(bpy)_3^<2+>[Nb_6O_<17>]^<4->/MV^<2+>/[Nb_6O_<17>]^<4->の層間化合物が得られた。層間化合物の形成は粉末X線回折および赤外吸収スペクトルによって確認した。交互積層構造の形成は、K_4Nb_6O_<17>が、インターカレーション反応性の異なる2種類の層間が交互に連なった、特異な層状構造を有することで説明できた。すなわち、HA^+-K_4Nb_6O_<17>層間化合物(HA^+/[Nb_6O_<17>]^<4->/HA^+/[Nb_6O_<17>]^<4->構造)中のHA^+のイオン交換性が層間によって異なるため、反応性の高い層間にあるHA^+がMV^<2+>と選択的にイオン交換してHA^+/[Nb_6O_<17>]^<4->/MV^<2+>/[Nb_6O_<17>]^<4->構造を生じ、次に[Nb_6O_<17>]^<4->層との静電相互作用が弱いHA^+(MV^<2+>との電荷の違いに起因)が選択的にRu(bpy)_3^<2+>とイオン交換してRu(bpy)_3^<2+>/[Nb_6O_<17>]^<4->/MV^<2+>/[Nb_6O_<17>]^<4->構造を形成する反応機構を推定した。
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