ゾル-ゲル法は形状付加が容易であるなど多くの特長をもつセラミックスの合成法の一つであるが、多成分からなるセラミックス合成においては、得られたゲルの均質性などに問題が生じることが多い。 そこで、骨格となる酸化物ゲル生成に及ぼす金属イオンの影響について検討する事により、異種原子間の結合の可能性を検討した。さらにその結果等をもとに多成分からなる高分散性及び高均質性微粒子ゲルの合成およびその制御について検討した。 1.ケイ素と金属元素を含むゾル-ゲル反応過程の定量的解析 ケイ素のアルコキシドとアルカリ金属やMg^<2+>のようなアルカリ土類イオンとの反応を、主として^<29>Si NMRにより調べた。その結果、アルカリ金属とケイ素との間でみられたSi-O-M(M:金属元素)の結合は、ケイ素とMgとの間では非常におきにくいこと、その原因はシラノール基のプロトンの解離が小さいことに起因していることを明らかにした。さらに今後、このような異種原子間結合の生成条件を検討することによって、今までには得るのが困難であった組成からなる、高均質、高分散性セラミックスの合成に結びつくと考える。 2.ゲル微粒子の合成及びその評価 ケイ素とナトリウムを含む系を取り上げ、上での結果をもとにこの2成分からなるゲル微粒子の合成条件と、その組成、粒径、及び分散性の制御について検討した。その結果、シラノール基のプロトンとナトリウムイオンとのイオン交換反応をある条件下で促進することによって、ナトリウムがケイ素に対して80%以上含まれる、単分散微粒子を得ることができた。今後さらに条件等を検討することによって、多成分系においても良好な単分散微粒子を得ることが出来ることがわかった。
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