研究概要 |
1.キラルな1, 8置換フルオレノールの合成 2, 6ジメトキシ安息香酸エステルへのGrignard試薬の芳香族求核置換反応を、試薬の等量を制御して二段階で行うことにより、3, 3', 5',-置換ブフェニル-2-カルボン酸エステル類を高収率で合成できた。エステル基を加水分解後、分子内Friedel-Craftsアシル化反応、カルボニル基の還元を経て、キラルな1, 3, 8-置換フルオレノールが合成できた。 2.不斉反応への応用 合成したキラルなフルオレノールの不斉助剤としての評価を行った。ベンゾイルギ酸のフルオレニルエステルへのメチルGrignard試薬の1, 2-付加反応では、最高85%deの選択性が達成された。また、1-メトキシ-2-ナフトエ酸フルオレニルへの2-メトキシ-1-ナフチルGrignard試薬の芳香族求核置換反応では、65%deの選択性で軸不斉が誘導できた。 3.キラルな7-置換-2, 2-ジメチルインダノールの合成 合成したフルオレノールのエステル類は、Grignard試薬に対しては安定であるが、アルカリにより容易にラセミ化することがわかった。そこで、ラセミ化に強い不斉助剤として、新たにキラルな7-置換-2, 2-ジメチルインダノールを設計し、1.と同様の方法で合成した。また、2.と同様に不斉助剤としての性能を評価したところ、フルオレノール類と同程度の不斉選択性を示し、またラセミ化にも強いことがわかった。
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