本研究では、船尾流場の長周期変動を数値的にシミュレーションすることによりその現象を明らかにする予定であったが、船尾縦渦を正確に予測できなければ、予定していた結果に到達できないとの判断から、物理的に正しいモデルを導入して船尾縦渦を含む船尾流場を数値的に解析した。 現在行われている数値的な船尾流場推定法は、渦動粘性係数を人為的に操作することにより解を得ているが、その手法は大阪大学で行われている実験結果と異なり、物理的に問題を多く含む。すなわち、船尾縦渦を表現するために、 1)渦動粘性係数を小さくする。 2)1)の結果、レイノルズ応力の予測精度は、従来のモデルより悪くなる等の問題が生じている。 今回加えたモデルは、上記1)、2)の物理的な矛盾なしに船尾縦渦を表現するために導入したモデルで、従来の乱流モデルでは表現できなかった、円管内旋回流れの解析に用いられ成果をあげているモデルである。 このモデルを加えて数値計算を行った結果、船尾縦渦を表現でき、なおかつレイノルズ応力を従来のモデルのレベルの程度は表現できることがわかった。
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