研究概要 |
物理化学性を異にする除草剤(cafenstrole,pretilachlor,benfuresate,simetryn)を供試し、その生理活性発現に及ぼす土壌環境要因(特に土壌水分条件)の関与について土壌中薬剤の存在形態を中心に検討した。 1.生育試験:薬剤[cafenstrole(3x10^<-5>M),pretilachlor(5x10^<-5>M)]を処理し、24時間(5℃、暗条件)放置した土壌における栽培ヒエ(Echinochloa ultilis Ohwiet Yabuno)の生育は根部より茎葉部の方が著しく抑制され、水分比が高くなるほど生育抑制が強く現れた。 2.土壌中薬剤濃度試験:二重遠心管を用いた遠心分離(13000xg、30分)法により遠心土と植物が利用すると思われる土壌溶液(遠心水)を採取し、各々の薬剤濃度を測定(HPLCあるいは液体シンチレションカウンター)した。処理薬剤のほとんどが土壌中に存在し、溶液中には総量の0.3%-12.4%が検出され、どの薬剤においても水分比(50%〜80%(最大容水比96.1%)が高くなるにつれて、溶液中での存在比が増加した。また、水分比が高くなると土壌溶液中に存在する総量は増加しているものの、その濃度は水分の影響を受けず一定であった。さらに、薬剤の土壌溶液中濃度・存在比に及ぼす他化合物の影響について調べたが、単独処理区とほぼ同様であった。 3.吸収試験:植物体における両薬剤の吸収量は水分条件の影響を受け水分比が高くなるに伴い増加し、地上部における薬剤の分布は総量の38.5%から57.5%で水分条件によって変化した。 4.以上の結果から、乾土当り処理量を同量にした場合においても生育抑制作用が水分条件の影響を受け、また、水分比の増加に伴い生育抑制が大きくなったのは、水分比が高くなるにつれ植物の利用可能と思われる土壌溶液と植物体との接触面積の増加による薬剤の吸収量の増加の影響したものと考えられた。
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