本研究では、DNA分析技術の一つでるRAPD(random amplified polymorphic DNA)法を利用して、ニホンカラマツに内在する遺伝的変異を明らかにし、遺伝子型に対応した種子産地区分を確立するとともに、新しい種子産地区分に基づく材質形質に関するデータベースを構築することを目的とした。 林木育種センター・北海道育種場(北海道・江別市)において、ニホンカラマツ針葉のサンプリングを行った。採取した針葉からゲノムDNAの抽出・単離を行い、精製した後、RAPD分析に用いた。これらのDNAサンプルの一部を用いて、RAPDプライマーのスクリーニングを行った結果、複数のプライマーにおいて多型が検出された。現在、これらのプライマーによるRAPD分析を行うとともに、得られたデータを解析し、新しい種子産地区分を試みている。 また、遺伝子型に対応した新しい種子産地区分の確立に先立ち、市販のデータベース作成用コンピューターソフトウェアを用いて、材質及び成長形質に関するデータベースを構築した。データとして入力した形質は(1)胸高直径、(2)corewood平均年輪幅、(3)corewood平均容積密度数、(4)outerwood平均年輪幅、(5)outerwood平均容積密度数、(6)outerwood平均晩材率、(7)平均繊維傾斜度、(8)最大繊維傾斜度、(9)ヤング係数の9形質とした。遺伝子型に関する解析が終了次第、両者をコンパイルする予定である。
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