中山間地域水田地帯の典型である大分県緒方町における不在地主の農地利用状況を、同町農業委員会が実施した一筆調査を県内居住者・県外居住者、田・畑に分類しながら再集計を行い、分析を試みた。その集計結果と分析結果の概要(字数の関係のため田に限定する)は以下の通りである。 (1)田の現在の利用状況…県内居住者が所有する田は246775m^2だが、そのうち自作面積は90280m^2(36.6%)、貸付面積は117682m^2(47.7%)であり、既に宅地となっているのが3651m^2(1.5%)、山林となっているのが3366m^2(1.4%)、遊休農地となっているのが14384m^2(5.8%)で、現状不明が17412m^2(7.1%)となっている。これに対し、県外居住者が所有する田は83933m^2だが、そのうち自作面積は6228m^2(7.4%)、貸付面積は66922m^2(79.7%)であり、既に山林となっているのが769m^2(0.9%)、遊休農地となっているのが7041m^2(8.4%)で、宅地となっているものはなく、現状不明が2973m^2(3.5%)となっている。 (2)分析結果の概要…不在地主と言っても県内居住者と県外居住者では大きな違いがある。前者は自作面積が3分の1以上を占めているのに対し、後者は貸付面積が7〜8割を占めている。緒方町では県外居住者の農地ではあってもかなり有効利用されている点は注目される。また、後者の方が遊休農地となる割合が若干高い。以上は、不在地主に対して積極的にはたらきかけることで農地流動化を進めることが可能であり、現在自作している不在地主に対してもその把握につとめることで彼らのリタイアを的確に捉え、農業委員会が農地銀行としての機能を果たすことで農地流動化の推進が可能であることを示唆していると考えられる。
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