本研究の目的は、高温・高圧のスチームを地下部の雑草根に当て、根細胞を加熱して枯死させる新しい除草機の開発に必要な基礎資料を得ることを目的とする。 今回は、研究の初期段階として実験装置を製作した。実験装置は、オリジナルで製作したボイラ、その熱源の灯油バーナー、耐圧・耐熱ホ-スを介してスチームを土中へ噴射するノズルから構成される。また、水の蓄えられたボイラ内には直結型コンプレッサーで圧縮空気を送り込んで水の沸点を上昇させる。ノズルは、スチームを地面の水平方向に噴射できるものを設計・製作した。これを用いて2つの実験を行ない、以下の結果を得た。 1.性能実験 まず、コンプレッサーによる加圧でボイラの湯の沸点が上昇することを確認したものの、圧縮空気が低温のため、ボイラ内のスチーム温度が低下した。そこで、スチームを蓄えてボイラ内を加圧したところ、湯の沸点の上昇と共にボイラ内のスチーム温度も上昇し、ボイラ内スチーム圧力が7.0kgf/cm^2の時に166℃のスチーム温度が得られた。このスチームを長さ3mの耐熱・耐圧ホ-スを介してノズルから噴射させて温度を計測した結果、77℃に低下し、ホ-ス等での大きな熱ロスが見られた。 2.土中噴射実験 スチーム圧力と土壌条件との関係を見るため、L474×W224×H125mmの箱に任意の含水比、および土壌硬度に調整された黒ボク土を装填し、深さ1および3cmの位置でスチームを噴射させた。噴射深さ1cmでは、スチーム噴射直後に土が吹き飛び、スチームが土中を貫通しなかった。一方、噴射深さ3cmでは、高含水比の時にスチームが土中を貫通し、ノズルから7cmの位置で土壌温度が1分噴射後に110℃となり、短時間で土壌温度を上昇させることができた。 以上の結果から、本研究の目的を達成できると考えられる結果が得られたものの、雑草根の枯死は、実際にスチームを噴射していないことから、今後実験装置を改善して確認する。
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