Flavobacterium類縁細菌群は色素を産生することから、有色の細菌を、沖縄県西表島、石垣島のマングローブ域及び海岸各地より採集した落葉木、土壌、水及び海草から74株、静岡県伊豆半島の海岸各地より採集した海草、海砂及び海泥より12株を分離し、純化した後凍結保存した。 これまでに沖縄県、千葉県から分離した130株と合わせた計216菌株についてキノン組成を調査した。その結果、50%弱の菌株が本細菌群の特徴であるメナキノン-6(MK-6)またはMK-7を保持していたことから、マングローブ域を含め、海洋環境は本細菌群の分離源として有用であることが示唆された。また一部の菌株について16S rRNA塩基配列を決定して、その系統分類学的位置を明らかにした結果、新属になると考えられる細菌が見いだされたことから、海洋環境には本細菌群の未知の菌種が数多く存在していると考えられる。これらの菌株についてはその詳細な分類学的位置及び特徴を明らかにした後、発酵研究所に寄託・保存し、公共に公開する。参照株として本細菌群に属する8属23種5亜種の5株の既存株を、国外のカルチャーコレクションから収集し、発酵研究所に寄託・保存し、公共に公開した。多くの既存株の化学分類学的性状が未知であることから、これらの菌株について化学分類学的性状の調査を行っている。 またFlavobacterium-Cytophaga complexに属する諸菌株の16S rRNA塩基配列に基づく系統関係を調査し、Cytophaga apricaとCytophaga diffluensは系統的にCytophaga属に属さずそれぞれ独立していることを明らかにした。この結果に基づき、Cytophaga apricaに対して新属Flammeovirgaを設定しFlammeovirga aprica comb.nov.に分類すること、Cytophaga diffluensに対して新属Persicobacterを設定しPersicobacter diffluensに分類することを誌上発表した。
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