心筋細胞間ギャップ結合は心臓の同期的拍動に重要な役割を果たしている。近年、この構成蛋白である多様なコネキシン分子種群が、心臓刺激伝導系における特異な興奮伝達機能を形成している可能性が示唆されている。本研究では心発生過程を含むこれらの発現様態につき検討を加えた。 1)現在までクローニングされているコネキシン分子群のアミノ酸配列からプライマーを作製し、成獣ラット心臓から抽出したメッセンジャーRNAにつきRT-PCR法を行ったところ、レンズでの特異的な発現が知られているCx46がクローニングされた。この詳細な局在については特異抗体により検討中である。 2)抗Cx43、Cx40、Cx45抗体を用い、免疫組織化学的に新生仔ラット心臓を検討したところ、Cx40は出生直後までは心臓全体に分布する強い蛍光標識として認められたが、その後まもなく著明な標識の減弱を認め、生後約1週間で成獣の分布パターンを示した。Cx45も標識強度は弱いながらもCx40と同様な発現パターンを示していた。Cx43は胎生末期から成獣に至る全てのステージで強い発現が認められた。出生時におけるCx40やCx45のdominantな発現はノーザンおよびウエスタンブロッティングでも確認された。さらにCx43のウエスタンブロッティング分析から、成獣と新生仔ではそのリン酸化状態に相違があることが示唆された。 3)心筋細胞間に発現されるギャップ結合分画の精製は肝臓ギャップ結合に比し困難であり、現在まで形態学的および生化学的分析に適当な試料は得られていない。
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