3量体型G蛋白を起点とする情報伝達の標的分子として蛋白質チロシン燐酸化酵素が示唆されている。私は血小板における非受容体型チロシンキナーゼ(PTK)Sykをモデルに以下のことを明らかにした。 1.血小板においてPAFはその受容体を介してSykを活性化する。PAF受容体を過剰発現したASK.0細胞を用いて解析したところ、百日咳毒素によりSyk活性化は阻害された。同様の傾向は血小板でもみられ、百日咳毒素感受性G蛋白質がSykの活性化に関与していることを明らかにした。しかしG蛋白質βγサブユニットの関与はin vitroでの解析結果より否定的である。 2.Thrombinによって活性化されたSykの基質の一つとしてPLC-γを想定し、両者の会合と活性調節について解析中である。 3.Thrombinによって活性化されたSykがactin細胞骨格に移行し、その会合にはSykのキナーゼ領域が必要であり、酵素としての活性は必要ないことを明らかにした。更にSykは血小板における別のチロシンキナーゼであるFakと会合することも併せて明らかにした。両者の会合は血小板における細胞骨格とfocal contact様領域の相互作用に関与するものと考えられる。
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