P450C18(CMO)欠損症は、アルドステロンの生合成に欠損がある常染色体劣性の遺伝病である。CMO欠損症には、CMOI欠損症JCMOII欠損症の2種類が存在する。CMOI欠損症ではアルドステロンは全く検出されず、18-ヒドロキシコルチコステロンが減少しているが、CMOII欠損症の場合は、アルドステロンが低いレベルで生成しており、18-ヒドロキシコルチコステロンが顕著に蓄積している。 申請者らは、CMOI欠損症と診断されたトルコ系の患者の血液から染色体DNAを精製し、2段階のPCR法を用いて、P45C18遺伝子であるCYPIIB2のエクソン-イントロンの境界領域を含む第1エクソンから第9エクソンまでのDNA断片をそれぞれ3サブクローニングし塩基配列を決定した。その結果、エクソン8にCTGからCCGへの点突然変異がみられ、461番目のコドンがロイシンからプロリンへ変わっていた。この461番目のコドンはステロイド18ヒドロキシラーゼ(P450C18)のヘム結合領域と仮想される部位の中に位置していた。この変異を導入したP450C18遺伝子のcDNAをCOS-7細胞において発現し、ミトコンドリアフラクションを精製した後、酵素活性を測定した。11-デオキシコルチコステロンからアルドステロンへの変換に必要なすべての活性が検出されなかった。変異を有するcDNAからの遺伝子産物が実際に発現していることはウエスターンブロットによって確認したので、このことは遺伝子産物自体に活性がないことを意味している。これらの結果は、この点突然変異がCMOI欠損症を起こす原因になっていることを示唆している。
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