研究概要 |
1)先天性腎形成不全モデルマウスの腎形成不全に関わる責任遺伝子のマッピング腎の形成異常のみられない近交系マウスNFS/N,A/J/Kyo,MSM/Ms,BALB/c,DBA/2,CBA/J,C3H/He,C57BL/6との退交配世代において腎形成不全個体の発生頻度はそれぞれ,13.0%,10.3%,2.0%,3.2%,5.9%,5.0%,8.1%,17.3%であった.交配相手の系統によってその頻度に差を認めることから,本形成不全には宿主側の要因が強く関与しているものと推定された.NFS/N系との退交配世代におけるマイクロサテライト法による連鎖解析の結果,その責任遺伝子はマウス染色体2番にマッピングされた. 2)本モデルマウスの胎生期の観察 胎生期の11.5日目,12.5日目の組織学的な観察から,形成不全の個体では,尿管芽(ureteral bud)の発芽,造腎間充織細胞(metanephric blastema)の初期の増生は認められるが,ureteral budがmetanephric blastemaに侵入できず,それ以後の分化増殖が誘導されずapoptosisによってblastemaが消失することがあきらかとなった. 3)候補遺伝子の検索 責任遺伝子のマッピングされた染色体2番にあるWT1遺伝子について,RT-PCR法にてその発現をみたところ,健常腎をもつマウスと比較して,その遺伝子の長さに明らかな差異は見いだされなかった.
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