、細胞間のcommunicationに重要は役割を果たしているgap junctionは、細胞の増殖および分化に密接に関係している。肝臓のgap junctionは発生、再生時或いは発癌過程に著しい変化がみられることが知られているが、その時のgap junctionの発現調節機構についてはよくわかっていない点が多い。最近我々は、初代培養ラット肝細胞計に於いて、分化誘導物質である2%dimethylsulfoxide(DMSO)および生理的濃度のglucagonを投与することにより肝細胞のgap junctionの構成蛋白であるconnexin32(Cx32)およびconnexin26(Cx26)を高度に再発現させ、且つ長期にその発現を維持させることに成功した。さらにこの培養系を用いて、gap junctionを高度に発現維持し増殖が抑制されている細胞をepidermal growth factor(EGF)刺激により60%以上の細胞をDNA合成に入れ、DMSO投与により再び増殖抑制させる系、いわゆるin vitroにおける再生肝-モデル系を確立した。今回は、このin vitro再生肝モデル系を用いて、培養肝細胞の増殖および分化におけるgap junctionの発現の変化を詳細に観察した。結果、gap JunctionのmRNAはG1期に一過性の増加後、S期直前に著しく減少し、細胞の増殖中は低レベルであった。増殖抑制刺激により早期にCx32 mRNAは元のレベルまで回復したが、Cx26 mRNAにおいては低レベルのままであった。蛋白、形態および機能レベルにおいてもほぼ同様の変化がみられた。また増殖抑制時においてfreeze fracture的にgap junction plaqueの細胞分化の指標であるcell poralityとの密接な関係もみられた。
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