老化とフリーラジカルの関係について多くの報告がなされているが、in vitroにおける報告がほとんどであり、in vivoにおける報告はなされていない。そこでL-バンドelectron spin resonance-computed tomography (ESR-CT)システムを用いてマウス頭部のフリーラジカルの変化をin vivoにおいて捉えることを目的とした。現存のESR-CTシステムでは内因性のフリーラジカルを捉えることはできないので、ニトロキシドラジカルをもつスピンラベル剤を老化のモデルである老化促進モデルマウス(SAMP8)1、3、6、9、12ヶ月齢の腹腔内に投与し、頭部のニトロキシドラジカルの変化をESR-CTシステムを用いて捉えた。その結果、加齢に伴うニトロキシドラジカルの半減期は雄群については6ヶ月齢が最も長くなること、雌群においては1〜12ヶ月齢において加齢とともに半減期が長くなることが明らかとなった。このことから雄群においては6ヶ月齢において、雌群においては加齢とともに頭部のフリーラジカルが多く発生していることが示唆された。また雄群と雌群を比較すると雌群の方がニトロキシドラジカルの半減期は長いことが明らかとなり、雄群と雌群ではフリーラジカルの発生や抗酸化系に違いのあることが示唆された。さらにフリーラジカル消去作用をもつ抗酸化剤として、抗老化剤"老来福"を1ヶ月間雌雄SAMP8に投与し、同様にニトロキシドラジカルの変化を測定した。その結果、老来福を投与した雌群において半減期が短くなることが見いだされ、抗酸化剤の効果がin vivoにおいて認められた。 以上のことから加齢に伴うフリーラジカルの変化をin vivoにおいて捉えることができた。またその変化は雌雄間において異なることが明らかとなった。
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