CHO細胞由来のヒト組み換え体LECT2(rLECT2)のヒト好中球に対するIn vitroでの作用は、好中球について次の4点について調べた。ヒト好中球走化性活性については10^<-12>から10^<-5>Mで検討したが、検出されないか、あるいは検出されても非常に弱いものであった。この原因として考えられるのは、以前精製したLECT2がに未同定の走化性物質を含んでいた可能性と、あるいは、組換え体であるための理由を考えており、現在検討中である。他の走化性ペプチドであるFMLPによる好中球の脱顆粒に対する影響では、10^<-6>MのFMLPで刺激した時、rLECT2の濃度が10^<-6>から10^<-7>Mでmyeloperoxidae(MPO)の放出の阻害がみられたが、β-gluclonidaseの阻害は観察されなかった。また、活性酸素の生成も阻害されなかった。 抗体を使った肝組織のLECT2 antibodyによる免疫染色については作成した3種類の抗体(マウスモノクローナル抗体2種、兎ポリクローナル抗体)を用い、肝臓関連の疾患のヒト患者の肝臓の生検体を染めた。その結果次のことが判明した。ポリクローナル抗体と1種類のモノクローナル抗体によって、Formalin-paraffin sectionで肝臓が陽性に染色された。もう一方のモノクローナル抗体では染色されなかった。この時、抗原での吸収実験により阻害された。肝細胞のみが陽性に染色され、細胞質のみが弥漫性に陽性であり、核や細胞膜は陰性であった。ヒト血清中にLECT2蛋白質が数百ng/mlオーダーで存在することが分かっており、現在、各種肝臓病態と血清濃度、組織像との関連を調べており今後、LECT2と肝臓疾患との関係が分かってくる可能性があると考えられる。
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