研究概要 |
1)ニホンザルを用いたP.coatneyi感染試験:供試した2頭は(J-6,J-7)、感染4日後より末梢血液中にマラリア原虫が認められ、J-6については感染13日後(赤血球感染率13%)、貧血を主徴とした症状(Ht.値19%)にともなって嘔吐、暗赤色尿の排泄、軽度の震戦を繰り返したのち昏睡に至り、ケタミン麻酔下で放血殺に処した。J-7については感染10日後(赤血球感染率15%Ht.値34%)より暗赤色尿の排泄を認め、感染11日後重度の貧血(Ht.値21%)を示して死亡した。 2)P.coatneyi感染経過にともなう血漿中TNF-α,IFN-γ,IL-6濃度の推移:血漿中TNF-α,IFN-γ値は末梢血液中にマラリア原虫が認められた時期より徐々に増加し、赤血球感染率の急増により昏睡に至った時期には、著しい増加傾向が認められた。一方血漿中IL-6値は感染後、未感染対照郡と同程度の範囲を推移し、血漿中TNF-α,IFN-γ値の著しい増加がみられた時期に急激な減少傾向を示した。 3)P.coatneyi感染経過にともなう末梢単核球の細胞内サイトカインの推移:感染経過にともなう末梢単核球中の細胞内サイトカイン陽性細胞を推移をフローサイトメトリー法により観察した。その結果J-6、J-7とも感染後の末梢単核球に見られるTNF-αおよびIFN-γ陽性細胞の出現率に著明な変化は認められなかった。 4)P.coatneyi感染経過にともなうリンパ球サブセットの推移:フローサイトメトリー法により感染後のリンパ球サブセットの推移を観察した。その結果赤血球感染率が急増し、重度の症状が見られた感染13日後の検査においてCD8陽性細胞の減少、CD4・CD8陽性細胞の増加が認められ、CD20陽性細胞およびCD14陽性細胞については感染3日後以降徐々に増加する傾向を示した。
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