研究概要 |
mscL遺伝子の前後で相同組換えを行うことにより、mscLウエルシュ菌の作製を試みた。 まず、mscL遺伝子が薬剤耐性遺伝子により分断された組換え用DNA断片を作製した。colAから下流約5kbを含むpKY3134プラスミドにコードされたmscL遺伝子内のHincII部位に、pJIR418シャトル・ベクターより単離したクロラムフェニコール耐性遺伝子(Cm^r)断片(1331 bp)の挿入を試みたが、大腸菌中で組換え体を得ることができなかった。そこで、mscL下流側の約0.3kb断片を含むpKY3136プラスミドにCm^rとmscL下流側の約1.8kb断片を順次連結し、組換え用DNA断片を含むpKJ3プラスミドを作製した。各段階の正確な連結は、塩基配列を決定して確認した。 次に、pKJ3プラスミドをSmaI切断し、10μgの線状DANを用いてC.perfringens strain 13の形質転換を試みたところ、3株のクロラムフェニコール耐性を得ることができた。これらの株の染色体DNAを調製し、クロラムフェニコール耐性遺伝子断片をプローブとしてサザン・ハイブリダイゼーションを行ったところ、予想された長さの断片一つのみが検出された。ところが、pKJ3プラスミドのベクター・プラスミドであるpUCプラスミドをプローブとしたハイブリダイゼーションでもシグナルが検出された。このことから、これらの株は菌体内で再環状化したpKJ3プラスミドが、一回の相同組換えにより染色体上に挿入された変異株であると考えられた。 そこで、pKJ3プラスミドを二つの異なる制限酵素(SacI,SphI)で切断し、再環状化不可能な線状の組換え用DNAを得た。現在、このDNAによるstrain13の相同組換えを試みている。
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