本研究においては、細胞接着因子としての機能を有し、細胞融合制御システムの一部として存在するFusion Regulatory Protein-1(FRP-1)に対するリガンドの同定を目的に、まず、アフィニティーカラムの作製のためのプローブ作りを行った。 (1)分泌蛋白としてのFRP-1(sFRP-1)を構成的に発現する細胞系の作製 シグナルト-クエンス(PIV2-F)とTagをN-末端にもち、その後ろに、FRP-1のExtra celler domainを発現するように構築したプラスミドDNAをHela、Cos 7、L929細胞にトランスフェクトしネオマイシンでセレクションをかけて、sFRP-1構成的発現細胞系の樹立を計った。この3種の細胞のなかでFRP-1の発現がみられたのはL細胞のみであり、その発現量は非常に少なく、そのDistributionは、細胞内、細胞表面に存在したが、培養液中には分泌されてこなかった。また、得られた細胞株のなかには、単独で多核巨細胞を形成するものがいくつか見つかった。これらの事象の解決のために、シグナルシークエンスをCD5に変えたコンストラクトを構築し、Lac Switchを用いたInducible Expression系を作製し解析中である。 (2)Inducible Expression系 アフィニティーカラムの作製には、大量のsFRP-1が必要となるためCos細胞での構成的発現が望ましい。(1)の系においては、sFRP-1がDominant negativeとして働くことが示唆された。すでにL細胞においては上記2種のコンストラクトを用いてこの系で解析中であり、Cos細胞、HeLa細胞においても現在作製中である。
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